経済行動学の小幡績氏のブログを時々覗いています。この方、コロナが始まったときから一貫して、「騒ぎすぎ」「コロナ禍は大したことではない、これで経済が崩壊するとか、記録に残る大不況になるということはありえない。」との立場。なのでメディアから声がかからないそうですw。
株主総会やメディアでも積極的に発言する行動派経済学者。専門は行動ファイナンスとコーポレートガバナンス。1992年東京大学経済学部首席卒業、大蔵省(現・財務省)入省、1999年退職。2001~2003年一橋大学経済研究所専任講師。2003年より慶應大学大学院経営管理研究学科(慶應義塾大学ビジネススクール)准教授。2001年ハーバード大学経済学博士(Ph.D.)
小幡先生の専門である「経済行動学」という学問自体が、経済だけにとどまらず、社会の実態を読み解くのにとても有用なようです。
---「コロナ大不況」も「世界が変わる」も大間違いだ----
- コロナショックはリーマン以上「戦後最悪、人類史上最悪」だ。
- アフターコロナは大不況、デフレになる。
- コロナで世界が変わる。
ひとつづつ見ていきましょう。1つ目は「コロナ大不況」
1:コロナショックは「戦後最悪、人類史上最悪」ではない。
数値を乱暴に扱っている。一時的な落ち込みを年間に拡大した数字で騒いでいるだけ。
これは、例えば1四半期のマイナス数値を4倍して年間の落ち込みとするような数値の扱いのことです。
確かにこの論理の乱暴さはないですよね。瞬間的に大きな落ち込みになっていただけで、平均すればさほどでもなかった・・・ということも大いにあるのですから。
メディアはこのあたりを「仮にこのマイナスが年間通してあまり回復しない場合には・・・」といった断りすら入れていないものが大半。
彼らは出た数値をどう報道するか、というところでエモーショナルなんですよね。
これがまず先にある。これは科学ではなく情緒。
わかりやすいのが東京で感染者が激増したときの報道です。何人、という数値を何のフィルターもかけずに、緊張し、かつ深刻な表情で語ります。
東京都の人口密度を勘案するとそんなに騒ぐ数値か?
むしろそれまでが人口の割に少なかったのだから、増えたのは容易に想定できた範囲ではないのか。
「東京問題」などと切り捨てる官房長官に至っては「何か腹に持ってるだろう」と思わせましたがね。*都知事との綱引きとかね。
話がずれました。事程左様にどの数値に着目してそれから何を読み取るか、という視点がないんですよね。大半のメディア、非専門のコメンターたちは。生データだけでそれが示すものを読めるはずがないでしょうに。
コロナショックとリーマン・大震災ショックとの違い
コロナショックはフローのショックに過ぎず、ストックは何も傷んでいない。そこがリーマンショックとも東日本大震災とも違う。
人と物の流れが止まったり急減しているだけで、目に見えて大きな影響を受けた分野が目立っているだけ。目立っているから取材しやすく、印象的に報道できるから、メディアがエキセントリックに騒いでいる、と糾弾しています。
リーマンショックや大震災と比較することについては、私も当初から疑念がありました。モノが何も壊れていないのだから、物が壊れた事象と比較しても仕方がないだろう。人と物の流れが回復すれば解決することじゃないのか、と。
不安なのは、人類がこれまでこのようなショックを経験したことがない、からです。(パンデミックは度々あったけれど、経済的にここまで広範に影響があったことがない、という点ではこれまでになかった、という意味。)
小幡氏は「コロナショックで壊れたものといえば人々のマインドだけ」だと切り捨ててます。
確かに!
そしてそれは如何様にでも掘り起こせるんですからね♪ 喉元すぎれば暑さを忘れる仕組みになってますもん(笑)
2つ目の大嘘は「アフターコロナは経済が混乱、消費が冷え込みデフレになる。」という見方。
2:アフターコロナはバブル、すでに始まっている。
世界中の政権が金融緩和してお金の行きどころがなくなっている。
物が壊れていればそこにお金が流れるけれど、そうじゃないから行き場がない。なのでバブル。
いずれバブルが弾けてツケは政府に周り財政破綻する。と論破。
大嘘の最後は「コロナで世界が変わる」という見方。
3:すでに起きていた変化が加速するだけ
世界の知性は「世界が変わる」などといっているが、そうではない。
コロナで世界は何も変わらない。言ってみれば、やっかいな感染症が1つ増えただけだ。
アメリカの覇権の放棄、中国の影響力のさらなる拡大が加速するだけだ。
下線部分については、ワタシ的にはいささか?な気がしますが。
私も「コロナで世界が変わる」とか『人々のマインドが変わるのでは』と思っていましたが・・・最近では『そうでもないか・・・』な気分になってきました。
小幡氏は東洋経済出版の著書が多数あり、近々(9月4日)発売されます。著書の前フリ的記事でしたかねw