対ロシア制裁が招いた金固定通貨とサプライチェーンの崩壊がドルを紙切れにする

(前半は2023/8月記)
最近ツイッターで非常に興味深い投稿を見ました。金融作家ジェームズ・リカーズが最新ベストセラー「ソウルド・アウト」で書いていることを短く紹介している投稿です。

 

ジェームズ・リカーズ(ジェームズ・リッカーズの表記もあり)

資本市場で30年を超える実務経験を持つ投資銀行家。
リスク管理の専門家。国防総省やアメリカの謀報コミュニティ、大手ヘッジファンドなどにグローバル金融について助言しており、国防総省が実施した初の金融戦争ゲームの推進役を務めた。
【これまでの翻訳著書】()内は翻訳出版年
「通貨戦争 崩壊への最悪シナリオが動き出した! 」(2012年)
「ドル消滅」(2015年)
「いますぐ金を買いなさい」(2016年)
「AFTERMATH 金融クライシスから財産を守る7つの秘策」(2020年)

 

「ソウルド・アウト」はまだ翻訳本が出版されていませんが、出版されるとしても恐らくその時には、この本に書かれていることを後追いするような現実になっているのではないか、と思えます。出版されたのは昨年末で、その後の世界の動きは著者の言う通りに展開しているんですよ。(この著書のエッセンスを知っただけですが)

ジェームズ・リカーズのこれまでの邦訳著書の概要を見ただけですが、随分前から「通貨が世界覇権を左右する」と述べています。そして早くから「ドルは覇権を失う」と警告しています。

最新著書では、ドルが覇権を失っていく段階を最新の世界情勢に照らしながら解説しているようで金融に関わる人はもちろん、一般人にも最も興味のある内容のようです。

 

その内容を紹介する前に、現在の状況把握として、いささか稚拙ですが自分なりにまとめます。

ドル紙幣はその価値を裏付けるものがないのになぜ基軸通貨足り得たのか?
それは”ペドロダラー”と言われるように石油産出国に圧力をかけて石油をドル決済のみにさせてきたからです。くわしくはこちら。↓

又、これに加えて資金を用立てするIMFなどの国際機関や、他国による援助なども全てドルですから、ドルの需要はたかまり、それがアメリカの強さを支えてきました。

石油に限らず、他の国からモノを買うにはドルで決済する必要があります。産業がなく、金融システムが整っていない国は、自国の経済力で手に入れられるより遥かに多いドルが必要です。ドルを手に入れるには(自国の通貨ではなく)ドル建ての国債を発行します。つまりアメリカ(正しくはFRB)に借金しています。

ものしりウサ君

FRBは米の大手民間銀行が集まって作ったもので
アメリカ国家の組織ではないのだよ。ここ重要。

 

ちなみに経済学者マイケル・ハドソンによるとアメリカは金本位制をやめた後は「米国債本位制」にしたんだそうです。「米国債本位制」初めて聞く言葉ですが、言い得て妙だと感心しました。ドルを刷りまくって世界中の国々に米国債を持たせてきたわけです。(=米は紙切れを価値ある紙幣に変えることが出来ただけでなく、相手国に貸し付けさせて「ドル傘下」に取り込み一蓮托生の関係を構築した。)

 

(ここから2024/2記)
ロシア制裁はロシアをグローバル経済圏から追い出す目的でしたが、これは逆に西側主導のグローバル経済圏以外の経済圏(グローバルサウス)の拡大をもたらしました。

ロシアは制裁によりIMF(国際通貨基金)に預けていた金を没収され、ロシアのエネルギーをドル決済することもできなくなりました。しかし、ドイツを始めとするエネルギーを必要とする国々のルーブルによる取引を拡大することになりました。(国によってはルーブル→元という取引も広がりました。)

ロシアはルーブルを決済に使ってもらうための裏付けとして、金本位を打ち出し、自国産出の金の輸出をやめました。西側は制裁としてロシアの金の購入を禁止したのですが、逆にロシアは金を買い集める動きを取りました。

ロシア中央銀行は2022年3月25日、6月30日までの間、1グラム当たり5000ルーブルで金を購入すると発表した。国際市場で1グラム=約62ドルで取引されている金を5000ルーブルで買い取るのだから、1ドル=約81ルーブル(5000ルーブル÷62ドル)となる計算だ。実際、3月中旬に1ドル=100ルーブルで取引されていたロシア通貨はその後、同84ルーブルと、金の買い取り価格から算出した理論値近辺まで買われた。引用元:2022年4月18日「週刊エコノミスト」

この動きにより、ルーブルは決済通貨としての地位を確かなものにしました。おそらくこれは米の予測を超えた動きだったことでしょう。

 

1972年のニクソンショック以前の金本位制では「要請があれば米ドルに金1オンス=35ドルの固定レートで金との交換」が義務付けられていました。さらに各国通貨と米ドルの交換比率を一定に保つ固定相場制の仕組みがありました。(「ブレトン・ウッズ体制」もしくは「金・ドル本位制」)

ものしりウサ君

当時、アメリカはベトナム戦争で戦費がかかり、ドルを増刷し、実質ドルの価値は下がっていたんだ。
西ドイツがドルを金に交換するよう要請したんだけど、米の保有する金では足りなかったんだ。
そこで、窮余の一策!「金に交換するのはやーめた!」ってことになったんだよ。これ以降、通貨は変動相場制になったんだ。

 

リッカーズの記事に戻ります。彼の説明する「金固定制」は私が持っていた、実現性に疑問のある「金本位制」のイメージとはまったく異なるもので、まさにコロンブスの卵です。

不勉強なので確認できませんが
「金固定制」はリカーズ独自の説ではないのかもしれません。
ロシアが行っているのが実質的に「金固定通貨」なのかも?です。
「金担保通貨」というのも見聞きしますが、定義が不明です。

 

金固定制とは~J・リカーズ

通貨を金に交換できる「兌換制」とは異なる。
通貨の価値を金の価値(時価)と同額に固定する。
こうすることで、通貨発行は金の保有量に制限されない。

リカーズの「金固定制」は変動相場制と金担保の両方が組み合わさったものかと思います。ちなみに「金の時価」というのが曲者です。現在「金価格」とされているものは「先物相場」で決まる価格になっています。先物なので現物取引ではありません。
ある勢力の意図で値決めされるグレーな相場なんです。これをつつくと話しがややこしくなるのでパスしておきます(>_<)

リカーズの「金固定制」では、金の保有量と通貨発行が関連付けられないことに加えて、金固定制に基づく多国間の通貨が一律に動くようになります。固定する金価格が流動する時価だからです。
金本位制では「通貨と金の交換比率」というものが設定されるため、各国通貨の差が生じますよね。相対的に、金との交換比率が有利になる通貨が強くなります。

しかし、リカーズの説く「金固定制」では、通貨の基準が各国共通になるため、通貨が異なっても、それぞれも通貨の価値は同じです。金価格に同じく連動します。違いは通貨の名前、単位だけです。

金に固定した通貨は、金価格が上がると自国通貨の価値も上がりますが、そうではない国の通貨は相反します。例えばドルの価値が下がると金価格が上がります。

金価格が上がるとドルの価値は下がります。インフレでドルの価値が下がれば金価格は上がります。その恩恵で「金固定通貨」の価値が上がります。

「サプライチェーンの崩壊」があれはインフレが一気に進みます。

リカーズは「金固定制は金を保有する必要はなく、勇気を持って宣言するだけでいい。」と言っています。

何だから狐につままれたような話しですがw まさに「コロンブスの卵」で痛快ですよね。

 

補 足

仮想通貨は全くの門外漢ですが、この方のロシア経済注目には刮目です。


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参考 ↓

 

 

 

 

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