金の価格が上昇しています。特に円建て価格は10,000円を超えてから勢いを増しているようです。
金価格高騰の背景
円建ての金価格が上がり始めた頃「これは金の上昇ではなく、円安によるものである。」とする見方をよく見かけましたが、150円前後の円安がダラダラと続いている昨今、そうとばかりは言えません。
金価格と金利
金価格上昇はグローバルな動きで、ドル建ての価格もここ数年(2013-2020)の動きが吹っ切れたように上がり始めており、ここ数日では高値更新し続けています。↓のチャートは昨年までのもので、ここには出ていませんが、現在は赤線の高値線を突破しています。
金利が安いと通貨のまま保持する魅力がなくなり、より値上がりの見込める商品への資金移動がおきます。将来的に「金価格が上がる」と読めば、金利の低い通貨を売り、金に替える流れになります。
ここでいう通貨は国債がメインだね。米国債。
ダウ、日経の上昇は株式相場への資金移動ってことだね。
金を始めとする貴金属価格上昇の要因は「金利変化による通貨から金への資金移動」というのが通説ですが、今回はこういう読みはできない、という指摘が出ています。なぜなら米国の金利は高止まりしており、直近までの「そろそろ金利下げがあるだろう。」とする見方と、逆の見方が増えており、米金利の先が読めない状況になっています。米金利高止まりでの金価格上昇はキャピタルゲイン(値上がり益)狙いに代わって「ドルは大丈夫か!?」という要素が入ってきているようです。
この記事で触れていますが、金融作家ジェームズ・リカーズ(リッカーズの表記もあり)が最新ベストセラー「ソウルド・アウト」で*書いていることが現実に起きている、と思われます。
*ドルは紙切れでしかない事に気づいたあとの流れを予測しています。
金価格
金の価格はどこで決まっているのか? これも金価格高騰の背景を見る鍵になります。
一般的に金(金製品etc)の売買の基準とされるのはドル建ての金価格ですが、これは現物の取引に基づくものではありません。先物です。
先物は実体がありませんから、大金を使える勢力の意のままになります。金相場の場合、その立ち回りは金融大手JPモルガン・チェースだとされ、これまで何度も相場不正操縦で制裁金を払わされています。
現物取引の金価格は上海黄金交易所でみられます。金好きの中国では個人の金取引が活発なようです。
上海金取引所(以下、上海金取引所)は、国務院の承認を受け、中国人民銀行が設立した金およびその他の貴金属の取引を専門とする金融市場だよ。
大手金融機関が先物で操作した「実際にはないもの」の価格が「実物の金価格」になる、というマジックが通用してきたのですが、それが通用しなくなっているようです。
金の現物取引が活発化
金現物取引が活発になったのは「先物市場で操作された価格」以上に支払ってでも「金の現物」を手に入れたい、という勢力が強まっているということです。
金現物取引の拡大が見られるようになったのは「ルーブルの金本位制」宣言以降です。このあたりから金現物の取引が増え、その筆頭が中国です。中国は大量に金を買い漁って、それはなりふり構わずの体だったようです。通常は価格上昇を避けるために、見立たないように買うのが当たり前ですが。続いてインドやトルコ、東アジア圏。又、ユーロ圏でも増えています。
※以下の引用元:(昨年9月の記事ですが)世界の公式ゴールド保有量の推定値が過去最高に
とても長いので、要約します。
- 世界の公式の金準備量は、2023 年第 2 四半期に 38,764 トンに達し、1965 年以来の記録を破った。(国際通貨基金(IMF)の公式の金保有総量の計算に基づく)
- ロシア制裁でロシアの預け入れを没収したことを受け、危機感をもった東側、グローバルサウス諸国が金の現物保有に傾いている。
- 中央銀行が新しい国際金本位制の準備をしている。(通貨の信頼を維持するため)
- 中央銀行は金の蓄積を続け、国際通貨システムにおける金の役割は米ドルに悪影響を与えるほど増大するだろう。
- 2022年末から2023年6月にかけて、実質金利はほぼ横ばいであったにもかかわらず、金は17%上昇し、西側機関投資家は売り越しとなった。(金先物取引)
等です。この記事が出てからもこの動きは加速して、ついには先物価格より高い価格で取引されるようになっているのです。
ここで見落としちゃいかんのは
「国際通貨基金(IMF)の公式の金保有総量の計算」
はあくまで推定量なのよね。
自己申告なんだから。
申告してない国もあるのはトーゼンだよね。
引用の要約5番目にあるように、現物取引が先物価格を凌駕するようになることは、とりも直さずドルの価値が低下することを意味します。
金現物に引きづられるような先物価格
基軸通貨ドルを抱え込んでいる国々にとって金価格の上昇は致命的ですから、無理やり抑え込んできたのですが、これは金現物を買いたい国にとっては好都合です。そして目標とする量を確保できたらどうでしょう?
金現物価格が’先物でっち上げ価格’よりも高くなり、逆に先物価格を押し上げるようになっていることは、そういうことを意味します。そして、これからの上昇率はこれまでの比ではない、ということも示唆しています。
補 足
4/6CME(米先物取引市場)は証拠金を引き上げました。 Gold 6.8% Silver 11.8%
先物操作勢力の現物市場詣で
これまで見たことないのですがリンク貼るために覗いた「上海黄金取引所」で、興味深いニュースがありました。※それにしても、右クリック数秒で中国サイトも翻訳してくれるグーグル様♪
これまでさんざん悪さしてきたアコギな金融大手が上海黄金取引所詣でしているようです。
先物売りの損失で窮地なのか?
あらたな稼ぎを用意しているのか?
番外編 ド素人ババァの勝手な読みw
全くの私見ですがw これってドル攻撃に見えませんか?
着々と現物金を蓄えてきた勢力(中国とロシアを筆頭にした東側ですが)の攻撃。
「世界覇権、一発逆転の詰め」じゃない!?
世界に侮られる情報を撒きながら、こっそりと打って出る準備を整え、機を見て一気呵成に攻め立てる。これが中国の*超限戦。*文末補足あり
ともあれ、金や銀の価格高騰(銀も追随して上昇しています)は、金投資している人にとってだけの話、というだけではすみませんね。通貨価値の見直し▶当然、通貨安の方向 ですから。なんといっても各国中央銀行が自国通貨の信用裏付けの為に買っていることは、恐らく市場には戻ってこないということです。すなわち、金の産出量が増えでもしない限り、市場の金は枯渇する方向に行くわけです。
金とか、銀とか、わしらには関係ない話と思ったけど
「通貨が安ぅなる」ちゅうのはエライ関係があるがな。
そりゃ、インフレっちゅうことかな???
*超限戦は、文字通りに「限界を超えた戦争」であり、あらゆる制約や境界(作戦空間、軍事と非軍事、正規と非正規、国際法、倫理など)を超越し、あらゆる手段を駆使する「制約のない戦争(Unrestricted Warfare)」である。
倫理や法の支配さえも無視をする極めて厄介な戦争観である。
中国は、現在この瞬間、超限戦を遂行している。例えば、平時からサイバー戦を多用し情報窃取などを行っているし、三戦(広報戦、心理戦、法律戦)を多用し、東シナ海や南シナ海で「準軍事手段を活用した戦争に至らない作戦」(POSOW:Paramilitary Operation Short of War)を多用している。引用元:中国が仕かける超限戦の実態と人民解放軍改革(2016.2.9記事)
*「超限戦(ちょうげんせん)」の意味は「(従来の境界線と)限度を超えた戦争」である。あらゆるものが戦争の手段となり、またあらゆる場所が戦場となりうる。とりわけ、「非軍事の戦争行動」は超限戦のコンセプトを形成する重要な要素の一つである。すなわち、「見たところ戦争となんの関係もない手段が、最後には『非軍事の戦争行動』になる」のである。例えば、貿易戦争(国内貿易法の国際的な適用、重要技術の封鎖、経済制裁など)、金融戦争(ヘッジファンド、通貨切り下げ、金融制裁など)、新テロ戦争(テロリスト(個人集団)とハイテク技術(バイオ、サイバー技術)の遭遇)、生態戦争(技術を活用して地球の物理的環境を破壊)などは従来の軍事の範囲ではないが、多大な経済的、社会的損失を国家に与えることが可能である。
引用元:超限戦 21世紀の『新しい戦争』書評
補 足