
来週、8月22日は歴史に残る日付になるであろう、と話題になっています。22-24日に南アフリカで開催されるBRICs首脳会議のことです。
BRICs加盟国はブラジル・南ア・ロシア・インド・中国ですが、加盟を望む国が増え、今回の会議では「加盟条件の変更」が一番の議題になるようです。中国は加盟条件を緩やかにして拡大したい方針ですが、インド・ブラジルは「加盟国が増えることでBRICsの地位が下る」ことを懸念して乗り気ではないと伝えられています。
詳細は把握していませんが、これまで度々外相クラスの会議があり、伝えられているのとは異なる流れがあることも予想されます。
6月23日にオンライン形式で開かれた第14回BRICS首脳会議では、5カ国は、加盟国間の関係を強化、互恵の原則に基づいて政治、安全保障、経済、金融、人的交流などの分野で協力を拡大していくことに合意し、多国間主義に基づいてBRICSのメンバー拡大を推進 することを明記している’北京宣言’を採択した。
加盟国拡大について意見統一に影響したのがロシアのウクライナ侵攻で、侵攻当初はノーコメントを貫いた加盟国もありました。(確か南アだったと・・・)しかし、その後の状況の変化や度々の話し合いで、大きな変化があったようです。私的にはロシアがウクライナ侵攻の真意を十分説明して理解を得たのではないか、と思います。
6月24日に開催されたBRICs拡大会議では13カ国が参加しました。今回の会議に参加の意思を公式に表明した国には、サウジアラビア、イラン、インドネシア、UAE(アラブ首長国連邦)、アルゼンチン、アルジェリア、エジプト、コンゴ民主共和国、カザフスタン、バーレーンなどで、明らかに反米、脱ドル志向が見られますよね。
ちなみに加盟国以外の国も参加するので、正式には「BRICs⁺」というようです。
開催国の南ア特使の話ですと、現在、正式に加盟申請をしている国は22カ国あり、非公式に打診している国も同数あるそうです。
※非公式な話として米国の22の州が参加申請しているという情報もあります。
現在の加盟5カ国の人口だけでも計32億人で世界人口の約40%を占めているので、これが拡大すれば人口的には圧倒的多数派になります。人口だけでなく経済規模でもすでにG7を上回っているんですよ。これはインドの台頭と、ウクライナ侵攻後のEU・アメリカ・日本の減速によるものと思います。
経済サイトで注目されているのが「BRICs独自の通貨発行」に関する話題です。
南アフリカでのBRICS首脳会合では、ドルに代わる新たな決済手段の採用が合意されると見られていることから、その具体的な内容が注目されています。
それが人民元に基づくものではないか?新たな通貨(単位はbrick?)発行があるのではないか・・・などと取り沙汰されています。すでに人民元は石油の決済に使われていて、イラン・サウジアラビア・ブラジルでの貿易決済にも使われています。
しかし、人民元は過渡的であり、最終的には共通通貨発行になると見られています。
共通通貨は金で担保される(金本位)ため、なんの担保もないドルは暴落するとの見方が圧倒的です。これが合意されて公表されれば、キッシンジャーが作ったペトロダラーシステム(ドル=石油本位制)の崩壊が誰の目にも明らかになります。
金本位制の共通通貨発行案はロシアが提案しており、ロシアはすでに金本位制を打ち出しています。(ウクライナ侵攻制裁直後)ロシアはクリミア侵攻以降、金を買い込んでいたそうです。ちなみにBRICs5カ国の金の所有量はこちらです。(これはあくまで表向きで実際はもっとあるだろうと見られています。)
なぜBRICs通貨がドルの価値を下げるのか、これを金融作家ジェームス・リッカーズがわかり易く説明していたので引用します。
ジェームズ・リッカーズは幻冬舎が使っているけど、他の本ではジェームズ・リカーズとされているよ。
資本市場で30年を超える実務経験を持つ投資銀行家、リスク管理の専門家。国際資本市場に関する国防総省のアドバイザーで、ジョンズ・ホプキンズ大学などで講師も務める。
著書「通貨戦争」は米国でベストセラーとなる。その他の著書に「ドル消滅」がある。最新作「ソウルド・アウト」もベストセラーになっている。
※リッカーズ氏は、通貨単位のことを「BRIC」と呼んでいます。
※同氏の説明によれば、金本位ではなく金固定。この違いは
金とBLICの交換ができるのではなく、BRICの価値を金の一定重量に固定する。
つまり、BRICの価値は金の価格変動に連動するのです。
BRICは金に固定されているので、金価格が上がればBRICも上がります。
’BRIC-金-ドル’と、BRICとドルの間に金が挟まれることになります。BRICが金に固定されていることはドルの価値はBRICの逆相関になります。ドルは金には固定されていないので、金価格が上がればより多くのドルが必要になります。つまりドルの価値は下がります。
BRICsの共通通貨に関する記事では、一般的に「金本位制」「金担保制」とされており、仕組みに言及しているものは見ませんでした。1BRICs通貨が金何オンスに固定されるか、というような固定比率に言及している記事は多々あります。
「金固定制」としてここまでの仕組みに踏み込んだ説明はリッカーズ氏だけのようです。(自分が見かけた範囲ではありますが)ですので、BRICsの目指す通貨がこの仕組みになるか、というのは?です。
リカース氏の金固定説の仕組みにある色文字部分、これ、まさにコロンブスの卵なんですよ。「固定する」と公表するだけでいいのです。(らしいですw)
通貨発行に必要な量の金を確保する必要はなく、これまで金本位制のネックとされた「通貨発行の独立性」が確保できるのです(らしいですw)。

通貨発行量が多く、流通も活発であれば成立するのかな・・・。
なんの担保もないドルが成立しているのだから、金固定している方が成立しないはずはないのか。コロンブスの卵だなぁ。
リッカーズがもう一つ、ドルを破壊する要素としてあげているのがサプライチェーン(流通)です。具体的に穀物流通を取り上げています。
ロシア、BRICs諸国が穀物の流通を制することでBRICの価値を高めることが出来ます。BRICs諸国がものを売るとき使える通貨を指定してドルを排除すればいいのです。又、OPECがやっているように流通させる量を管理すれば、物の価格を自由に出来ます。すでにこの動きがあり、つい最近、インドが「米の輸出を禁止する」という発表がありました。
これをヤラれるとドルの価値は下がります。
余談ですが、ウクライナの穀物はロシアとの協定にもかかわらず、アフリカ諸国には届かず、大半が欧州に流れて、なんと家畜飼料になっていたそうです。代金の行方は想像に難くありません。ウクライナ政権中枢では海外に不動産を買い漁って、ゼレンスキーの親が数十億の不動産を手に入れた、など話題になりました。
BRICs諸国は穀物に限らず、地下資源の輸出国です。石油やその他のエネルギー資源の流通を制することが出来ます。
BRICs諸国のもつ穀物なり資源を買いたいならば、彼らの求める通貨を使うしかありません。となると当然、BRICs通貨が高くなる▶金価格が上がる▶ドルの価値は下落
一旦、この流れが出来上がるとドルはますます価値がなくなり、アメリカは超インフレになると思われます。
西側諸国は「国債本位制」ともいわれるように大量の米国債を抱えています。ロシアは経済制裁以降、すべての米国債を売り、一時は保有額最大だった中国も売り続け、今最大の米国債保有国は我が日本です。日本が(貸し倒れで)貧乏くじを引くのは間違いない、といわれています。(>_<)
補 足
幻冬舎サイトに同社出版の「AFTERMATH-金融クライシスから財産を守る7つの秘策」の抜粋(とはいえ、なかなかの充実ぶりです)記事が連載されています。すごいサービス!
補 足
8/22ツイートです。簡潔ながらうまく解説しています。あと24時間で、プーチンと中国がすべてを変える。そう、明日、BRICSの稲妻が、何十年も世界を支配してきた西側の覇権主義に衝撃を与えるだろう。ところで、西側メディアは、何が起ころうとしているのか認めたくないので、この話をまったく無視している。ゴールドマン・サックスはそれを理解しており、2… pic.twitter.com/FNnIqsdlSp
— Акичка (@4mYeeFHhA6H1OnF) August 21, 2023