数日前にNHKBS1のドキュメンタリーを見ました。2019年フランスの「「超監視社会 70億の容疑者たち」です。2019年制作なので再放送だったのかも。
番組概要
最先端の技術を使い、個人の行動履歴を監視・把握するシステムが、世界の国々で導入され始めている。新時代の監視社会は、私たちの暮らしにどのような影響をもたらすのか? 要注意人物をリアルタイムで判別するシステムを導入したフランスのニース。アメリカでは、通販大手のアマゾンが安価な顔認証システムを販売。中国では、優良市民と不良住民を区別する「社会信用システム」の構築やウイグル民族の分離独立運動の監視にIT技術が使われている。デジタル監視網がもたらす未来を占う。原題:TOUSSURVEILLES7MILLIARDS DE SUSPECTS(フランス2019年)
引用元 NHK BS1世界のドキュメンタリー
いゃあああああ、これ、背筋が凍りました。レポートの対象は中国で、番組後半では、超監視システムはすでに中国国内にとどまらず、ヨーロッパなどにも波及しているというのです。
コロナパンデミックが起き、中国がいち早く封じ込めたのは、監視システムがあったからこそで、その凄まじさは世界中が知ることになりました。それまでアメリカの中国敵視は過剰反応、と見て親中国を続けていたEU諸国、イギリスがにわかに"中国危険"となりました。パンデミック以前に作られたこのドキュメンタリーですでにその危険性が示されていたのにね。
監視システムはコロナ感染の監視ではなく、人民監視なのです。番組はタイトルにあるように「中国政府は国民を犯罪者として見張ってる」と看破しているわけです。
番組が作られた時点で張り巡らされた監視カメラの数は国民2人に1つ、いや、逆だったかしら!?とにかくすごい数が設置されて、未だに増やし続けている…。*検索して確認しました。
そのベースになるのは顔認証システムで、個々人のあらゆる行動をデータ化します。同じくコロナ封じ込めに監視システムを活用している韓国のそれは、移動位置情報だけのようですが、中国のものは凄まじい。そもそもがパンデミック以前から着々と国民監視目的で作られているのですから。
個人のあらゆる要素のデータがすべて紐付けられてデータベースで管理されます。ちなみに顔認証の精度はお構いなしです。(顔認証の精度は決して高くないと言われています)
数年前は、住民を細かくグループ化して、互いに見張り、チクリ合うという仕組みがある、という事でしたが、これはアナログな仕組みで、今やそれがデジタル・AI化して超進化しているというわけですね。
と、思わず口に出たのが「社会信用度フイルター」(正確に記憶していません)と言われるもので、これは個人の行動に細かく点数をつけたスコアで個人の格付けです。犯罪歴はもちろん、横断歩道以外で渡った、などのマナー違反などもカウントされます。一度カウントされると変更されることがない。もちろん顔認証は間違わないのが前提なので、濡れ衣もあるわけです。
住戸のドアにQRコードシールが貼られており、行政側はこれを読み取ることで、すぐに住人の格付けデータを読み出すことが出来ます。
格付けが高いと優先的に扱われ、あるスコアをクリアしないと無人店舗での買い物ができないし、スコア最低レベルの人は航空機に乗れない、診療を受けるのにも条件が付けられる、など行動を制限される扱いになります。人並みの扱いをしてもらえない。
マイナスカウントされるとその後の行動に不利なので、人々は規律を守るようになり、これが社会にとってプラスだ、とこのシステムを開発した人物はドヤ顔でした。
スコアカウントの条件は当局のさじ加減です。これが恐ろしい。
もう、いやはや、これはドラマでも小説でもないんです。
ウィグル自治区の人権侵害が問題になっていますが、ウィグルは監視網が極度に整えられた状況なので、実態を潜入レポートしていました。よく潜入したなぁと絶句です。命がけですから。
ウィグル自治区では人口の10%が収容所に入れられているそうです。*番組制作時
収容する人を選別するためにこのスコアが使われますが、スコアありきではなく、すでに特定した人物のスコア収集(捏造)という流れもあります。
かつてYouTubeにアップされた収容所連行現場の匿名投稿動画も紹介されました。
目隠しされ足枷をはめられ地面に正座させれられた多くの人たちの両脇には一人に付き二人の見張りが立ち、収容所に連行される。それは身の毛もよだつ光景。アウシュビッツの画像とまったく同じです。
この番組を見た数日後、LINEのデータ管理は中国の会社に委託しており、あろうことか日本にあるデータも全て見られる状態だった、というニュースがありました。2018年から30数回、日本国内のデータにアクセスがあったことも。
このニュースのあと、2日ほどは何も関係ニュースがありませんでした。
『エ-!これ、一大事じゃないのか???』
と怪訝に思っていましたが、漸く、総務省がLINE利用停止、と報じられました。
世間の反応を見ているとあまりに甘さにびっくりしました。単にLINE利用のアカウント作成時の個人情報流出だけを問題にしている人が大半です。もちろんこれだって、リスト化して売りまくってるはずです。数年前からそういう噂があった。
そうではなくLINE利用でやり取りされる内容自体が危ない。街頭取材で「つまらないことしかやり取りしないから」なんて言ってますが…。
8000万人の利用者のやり取りから特定キーワードを抽出しているはずです。*以下、私見です。
背乗り、って知ってます!? ワタシも最近知ったのですが、これは"なりすまし"のことで、日本人になりすました外国人がたくさんいるんだそうです。もともとは諜報員ですが、それ以外にも日本の社会保障狙いも多いとか。
最近災害で行方不明、身元不明の方が増えましたが、その中で消息がつかみにくい人になりすます、という例はこれまでになく増えているそうです。
背乗りしたことが偶然バレることもあるわけで、そういう危険を避けるために諜報関係部所では、LINEから得たデータから背乗りした人に関するキーワードを抽出してリスク回避する、ということもやってるでしょう。
ましてや、地方自治体などのLINE活用なんてとんでもない。
防衛ライン(LINE)決壊、というか、ハナから防衛意識が欠落している。
話がずれました。件のドキュメンタリー番組では、中国の監視網の危険さから学んだカリフォルニア州では顔認証を使わないことに決めたそうです。
この時の経緯が面白い。議員の顔で犯罪者の顔認証をしたところ、多くの議員が犯罪者として認証された。特に有色人種は誤認証が多いという結果が出た。この結果を受けて即、圧倒的多数で顔認証を使わないことに決まったとか。むべなるかな。
補 足
検索していてBBC Onlineサイトに興味深いコンテンツを見つけました。5分ほどの動画で監視システムの紹介をしています。(2017年12月のコンテンツです)これだけでもかなりの怖さです。南西部貴陽市でBBC記者をどのくらいで見つけ出すか、という実証実験もしています。中国当局がよく応じたな、と思いますが、それだけやってることになんの疑問も持っていないということでしょうか。
おまけ
LINEについて、政府寄りで有名なこの方も警告
「個人としては使い続けます」というデジタル大臣の危機意識レベル。ラインに向けての発言なら、その背景は!?