トランプの金融システム転換「新ブレトンウッズ体制」と日本の役割|ジュディ・シェルトン②

前回紹介したジュディ・シェルトン氏のインタビュー動画の後半です。この後半部分は現実に起きていることと符合する要素が盛りだくさんで、動画のクライマックスと言える内容です。

シェルトン氏が「*ブレトンウッズ体制」に言及している部分。動画05:43 〜

 

ケインズ対ルーズベルト:ブレトンウッズにおける最初の戦い
トランプ大統領が何を目指しているかを理解するには、1944年のブレトンウッズにおける最初の戦いへと立ち返らねばなりません。
ジョン・メイナード・ケインズは、主権国家に対して経済的条件を命令できる超国家的な通貨管理メカニズム—いわばグローバル中央銀行—を望んでいました。
しかし、フランクリン・ルーズベルト大統領のビジョンを支持するハリー・デクスター・ホワイトは、金に裏付けられたドルと固定為替レートを基盤とする、主権国家によるシステムを主張して戦ったのです。この主権モデルは、1971年のニクソン・ショックによって解体されるまで、数十年にわたり比類のない産業成長を生み出しました。トランプ大統領、大統領を氏の同盟者たちが今やっていることは、ケインズ主義的なグローバリスト・モデルに対するルーズベルトの戦いの再現(復活)なのです。

*ブレトンウッズとは第2次世界大戦後に米国を中心に作られた
為替相場安定のための国際通貨制度のことだよ。

 

続けて「金融システム、銀行業務(信用創造)の転換」について語られています。動画09:05〜

 

【行政府主導の資金供給システム】

FRBに対する戦いは、単に人事を刷新することだけが目的ではありません。金融システムの「仕組み」そのものをシフトさせることなのです。トランプ政権は、連邦準備制度による実体経済への介入や制限を排除するために、行政府主導の資金供給ルートを視野に入れています。財務省や特定の開発金融機関といった組織を活用することで、政府は工場建設、サプライチェーンの確保、インフラ投資など、生産活動へ直接的に資金を誘導することができます。これにより資金は、FRBの投機的なウォール街の枠組みに取り込まれることなく、実体経済活動の現場である業者や生産者へと確実に届くようになるのです。(工場建設やサプライチェーンの確保、インフラ投資など、「社会の土台を支えるリアルな経済活動」へダイレクトに資金を流し込むルートを視野に入れているのです。)

これまでは、企業の資金調達は銀行融資(=信用創造)によって行われてきた。「融資するか、しないか」を決める権利を持っている側が、何もないところからお金を生み出す”打ち出の小槌(信用創造)”を握っている。連中は融資するたびに「濡れ手に粟」で儲けてきた。こうして中央銀行を頂点、その下に銀行が位置する連邦準備制度が通貨を支配し経済を牛耳ってきたんだ。
銀行を経由せずに資金を得られるようになれば、否応なくこの枠組みに組み込まれてウォール街の都合に振り回されることもなくなるんだ。
”打ち出の小槌”は消え、中央銀行(FRB)をトップとする銀行システムは崩れていくんだよ。※信用創造については過去記事があります。文末につけておきます。

 

非常にわかりやすいと思いませんか。
ケインズ理論を実行してきたFRBの独立性を取り払い、国家の下に置く。国家主権は金に裏付けられた固定為替レートを基盤とする。そうすれば通貨は投機の対象ではなくなります。
これは米国だけでなく、グローバルに実行され、各国の通貨はその国家によって管理されることになります。その動きについて直近の外交事例を「地政学的」見地を交えて説明しています。動画10:16~

 

ルビオのインド訪問とコア・ファイブ

この米国内における「金融システムのシフト」は、地政学戦略とも完璧に連動しています。ルビオ国務長官の先日のインド訪問では、日米豪印(Quad)による重要鉱物の連携調整に大きな焦点が当てられましたが、ここでのより大きな狙いは、いわゆる【コア・ファイブ(主要5カ国)』—米国、中国、ロシア、インド、日本】の足並みを揃えることにあります。これは旧来のイデオロギー的な同盟ではなく、*ロンドン中心の金融システムを迂回するために設計された、モノを作り生産する主要国家による現実的な連携です。資源、製造業、そして貿易の決済システムにおいて直接協調することにより、これら主権国家は、私たちの暮らしを支えるリアルな経済(モノ・物流・インフラ)が未来を支配する『ポスト・ケインズ主義の多極化秩序』の基礎を築いているのです。*ロンドン(=シティ)中心の金融こそがグローバル金融資本です。

 

シェルトン氏はトランプ大統領は「グローバル金融資本(ロンドン中心の金融と表現しています)」の支配打倒の切り札にの一枚に「日米豪印(Quad)」を位置づけていると指摘しています。インタビューでは触れていませんが、背後に中国への警戒を匂わせています。←私見w

動画内容についてはここまでです。


中国はデジタル人民元(e-CNY)や、BRICSを中心とした独自の国際決済システムなど、「新しい金融システムのテクノロジーやインフラ」を他国に先駆けて着々と押さえ込んでいます。このまま中国の独走を許せば、ロンドンやウォール街の支配から脱却できたとしても、今度は「中国一強のデジタル金融支配」に世界が飲み込まれてしまいます。だからこそ、日・米・豪・印の4カ国(Quad)による連携が極めて重要な意味を持ってきます。

テクノロジーの独走を阻む「Quad(日米豪印)」の防波堤
中国が決済の「仕組み(テクノロジー)」を押さえても、そのシステムの上を流れる「中身(リアルな物資や重要鉱物)」を押さえられなければ意味がありません。ルビオ国務長官がインドに飛び、Quadでクリティカル・ミネラル(重要鉱物)の調整に動いているのは、まさにそのためです。この分野はまだ間に合う、とギリギリで動いているわけです。

オーストラリア(豪): 世界屈指のリチウムやレアアースの資源大国
インド(印): 巨大な労働力と独自のIT技術、そして中国に対抗するアジアの盾
日本(日): 鉱物を高度な部品や製品に加工する世界トップのクリーン技術
米国(米): 巨大な市場と、軍事・経済のバックボーン

 

中国の金融テクノロジーの独走を、日米豪印の「実物資源と技術の同盟」によって相殺し、力関係をイーブン(均衡)に保とうとする、非常に高度なチェスゲームが行われているわけですね。
表に出ているクアッドの重要鉱物に関する会合の裏に、さらに重要な金融ネットワークの調整があるだろうと思います。最近の片山財務相の発言、なかなか意味深長なものが多い。ベッセント米財務長官の来日タイミングなどから、既存の暗号通貨を含むデジタル通貨への切り替えが準備されているだろうと思います。知られていませんが、デジタル通貨への切り替えでは日本は先頭集団にいて、クアッドでは、中核を担っていると思います。

全く報じられていませんが、日本は早くからデジタル通貨の導入準備に取り組んでいて、それを片山財務相の発言の端々に感じることがあります。とくにXRPは日本が最も基盤が整っているそうです。

金融庁、外国発行ステーブルコインを電子決済手段に正式認定 内閣府令改正を公布金融庁は2026年5月19日、外国の信託型ステーブルコインを電子決済手段として位置づける内閣府令改正を公布。6月1日から施行される。

 

資金を使ってもその効果が長続きせず「トロい日銀と財務省」と海外投資家からバカにされている円安介入ですが、これも介入(円買いドル売り)の口実を用意していると見ています。為替(数字)に関係なく、自国通貨の還流をやっている。
シェルトン氏も指摘しているように、「実物資産や製造業を中心とした新しい経済秩序(新ブレトンウッズ)に移行するために、まずは通貨の物差し(為替レート)を安定させる」という、極めて入念な戦略的合意に基づいていると思います。

そもそも、基軸通貨というものはなくなってゴールドが基軸になるんですから。各国通貨は中間に何も挟むことなく直接取引に使われる事を目指しているのだから、外貨準備は必要ないのです。なので円が安いのではなく、どの通貨も基軸通貨のドルに対して安くなっている。準備金としてのドルを自国通貨に換える時、ドル高のほうが自国通貨を多く還流できますからね。期間を短く出来ます。

と、まぁ、これまでの自分の目線はそうズレてもいなかったな、と気を良くしているんですよ。シェルトン氏の解説はトランプ大統領の戦略を非常に明快に示していて、これは片山財務相が時折口走る(裏で何かやってますんで。みたいなw)ヒントに繋がるんですよ。
専門用語など間違えてはまずいと、逐一検索で確認しながらの作業で脳みそが粘土になりました。ミスキー・誤変換多いかもです(>_<)

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