川内優輝選手(埼玉県庁)がボストン・マラソンで優勝。日本人優勝は瀬古利彦さん以来31年ぶりで8人目、9度目の快挙です。
川内選手は、昨夏の世界選手権で9位となり、日本代表からの引退を表明しています。
「最強の市民ランナー」とはいえ、さすがに31才、これまで日本代表としてオリンピックなど出場してきましたが、結果が残せずプレッシャーも大きかったのだろう・・・、などと思っていましたが、ドッコイ力強く走り続けていたんですねぇ。
今年のボストンマラソンは異常とも言える過酷なコンディションで行われました。メジャーリーグが中止になるくらいの寒波で、強風と大雨、気温は3.3度です。
レース前は、「中盤までは押さえて走る・・・」つもりだった川内選手、このコンディションはチャンスだと思って、序盤から飛び出して逃げ切る作戦に変更。
レース中盤から世界王者のキルイ(ケニア)が独走態勢になり、二番手集団からひとり、又ひとりと脱落していく中、食らいついて走る川内選手の様子に
「アメイジング!」「アンビリーバブル!」とテレビ解説が繰り返す。
そしてついに残り2キロ地点で世界王者キルイを追い越し、そのまま優勝。
ボストンマラソンは片道コースのため国際陸連の公認記録とはならないそうですが、記録としては異例の遅い記録だそうです。
下世話な話になりますが、ボストンマラソンはマラソン賞金としては2番目に高い15万ドル(1695万円)です。ちなみに一番高いのはアラブ首長国連邦の「ドバイマラソン」で優勝賞金は20万ドル(2260万円)。東京マラソンも高いですよ。1100万円。
加えて副賞とか、記録に応じてボーナスとか出るんですね。
川内優輝選手はレース後のインタビューで「私にとっては最高のコンディションでした」と答えたそうです。それもそのはず、今年、元日のマーシュフィールド・ニューイヤーマラソンではマイナス17度の中、タイツを着て激走。このレースは完走したのは川内選手だけだったそうですから、これに比べたら、ボストンマラソンは「最高のコンディション」だったのですね。
現地メディアは劇的な逆転優勝に加えて、異色の選手として、かなり大きく取りあげているようです。
地元紙ボストン・グローブ(電子版)は
「コーチのいないアマチュアで、高校で働いている」と紹介し
ロイター通信は「フルタイムの仕事を持つ市民ランナー」と説明。
AP通信は30を超える大会で優勝経験を持つことや「2017年だけで12のマラソンを走り、5度優勝した。数多くのマラソンを走ることはトレーニングの手法だと話している。
川内選手は「私は瀬古利彦さんが優勝した1987年に生まれたので、そうした意味ですごく運命を感じています。・・・本当に今日、私が勝つと思っていた人は一人もいないと思う。やはりマラソンは何が起こるか分からないスポーツだということを証明できたのかなと思う。今の目標は「百戦錬磨の川内と呼ばれること」と話しています。