エレファントカーブでわかるグローバルな構造変化と米中冷戦

今朝のモーニングサテライト(テレビ東京)でとても興味深い話がありました。
ゲストのみずほ証券の北野一氏が最近取り沙汰されている「米中貿易戦争」について独自の視点から解説してました。ちなみに北野一氏は毎年優秀アナリストにランキングされる方です。

途中から見たので、「米中貿易戦争」について北野氏独自の目線で解説しているのだろう、と感じたのですが、ひょっとしたら違うかも・・・。

 

【北野氏の解説・概要】
冷戦の総括に誤りがある。
一般に認知されている【資本主義vs共産主義】は誤りで、実際は【バランスvs極端】であった。
バランスの取れていた米欧の資本主義側がソ連に勝ったことで「資本主義の勝利」とされてしまった。
勝利した(「バランス」サイドの)米国でも次第に新たな極端が生じている。具体的には
●極端なグローバル化
●分断
●ポピュリズム
などである。
これら米側の問題に対する中国の問題は「勘違い」から始まった誤った政策である。
中国の勘違いとは
リーマンショックを資本主義の失敗と判断し、習近平ひとりに権力を集中させる「毛沢東主義」をとっていることだ。
現在の新冷戦はこの両者の戦いになっている。

 

というものです。図にしました。

バランスと極端の説明図

 

 

中国の分析については初耳なので何とも言えませんが、【新たな極端】について「エレファントカーブ」というグラフを示して解説が非常に説得力がありましたよ。

 

エレファントカーブ

 

エレファントカーブというのはこのグラフのことです。
象に見えるので(右側が鼻)この名で呼ばれていて、この10年でもっとも話題になったグラフといわれています。
ネットで検索すると2016年~2017年頃に取りあげている記事が多数見つかりました。話題になった切っ掛けはこの本かも知れません。

「エレファントカーブ」は世界銀行の主席エコノミストたちが作ったもので、縦軸が1988年~2008年の20年間の国民1人当たりの家計所得の伸び、横軸が所得分布階層を100に分けて富裕層を左、貧困層を右に並べてあります。

これでみると、20年間に所得が伸びたのは新興国(中国)中産階級と先進国の富裕層で、逆に、所得が伸びなかったのは先進国の中産階級だと言うことがわかります。
又、先進国においては富裕層と中間層の格差が大きくなっていることもわかります。

この期間は、世界的にグローバル化が進み、先進国の製造業が新興国に移って、先進国の中間層は仕事が奪われ(所得が減り)逆に新興国の中間層は豊かになりました。
先進国の富裕層は低コスト化で収益が上がり、益々富が集中する仕組みが作られて、先進国の中での勝ち組、負け組の格差が拡大しています。

自由貿易がもたらすメリットの一方で、デメリットを被ることが多い層が先進国の中間層に多く存在しており、この層の不満が高まってきているのです。
これが従来の政治体制を拒否する流れになり、トランプが大統領になったりブレクジットが選択されたり、EUがガタついてきた・・・というわけです。

そこでこのエレファントカーブを平準化する政策が検討されて、米国においてはトランプ大統領の中国つぶしになっている・・・という解説でした。

なかなか説得力ありますね。

モーニングサテライト終了後に、ネットで検索すると、更に興味深い解説がありました。
上に描いたような単純な読みときはできない、というものです。

長くなったので次の記事で書きます。

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