呼吸の仕方でストレスを作ったり、解消したりしている|Dr.エスパン

マティアスさんとの対談動画を紹介した呼吸の専門家・エスパン博士による「呼吸の生理的メカニズム」について記事にしようと考えています。このテーマのエスパン博士動画はいくつか見つけることが出来ますが、呼吸について考えたこともない人向けから、専門的知識のある人向けまでレベルがあります。その中で、初歩的理解に向くものを見つけたのでご紹介します。
この動画(A Practical Guide to Using Breathwork for Everyday Life Triggers with Dr Espen (Dr. エスペンと学ぶ:日常生活の「トリガー」に対処するブレスワーク実践ガイド)では、「最適な健康状態を達成する上での呼吸の役割・呼吸法の科学的根拠・実践的な応用について話されています。実践法はエスパン博士の呼吸法の中の「リセット呼吸法」でした。YouTube自動翻訳もとにわかりにくい部分は意訳しています。

質問者

その時その時の状況で、どのように呼吸と向き合えばよいのでしょうか?
例えば、困難な会話をしている時、子供がかんしゃくを起こしている時、あるいは渋滞に巻き込まれている時など、どうすれば意識を内側に向け、正しく呼吸ができているかを確認し、ストレス状態から抜け出せるのでしょうか?

Dr.エスパン:素晴らしい質問です。その質問への答えを実践し、日常に取り入れれば、今後数ヶ月、あるいは1年の間に何十万人もの命を救うことにつながるでしょう。 

私たちは日々のあれこれや忙しさに追われています。健康において重要な要素の一つは、「余計なものを取り除く」ことです。何かを付け加えるのではなく、取り除くことが大切なのです。多くの人は、あれもこれもと何かを足そうとします。サプリメントだとか健康食品だとか。でも、人生からストレスや余計なものを取り除くだけで、人は自然と癒やされていくのです。ですから、まず「人生に何を足せるか」という思考とは逆のアプローチが必要になります。「何を削ぎ落とし、より静かな状態になれるか」を考えるのです。 

ご質問への最初の回答として知っておいていただきたいことは、神経系には2つの側面があるということです。多くの方がご存知かと思いますが、ストレスや生存に関わる「交感神経系」と、休息や消化を司る「副交感神経系」です。

「戦うか逃げるか(ファイト・オア・フライト)」の反応を担う交感神経系は、私たちが生き延びるために備わっています。例えば車が向かってきたら、素早く避ける必要がありますよね。その際、副腎からコルチゾールが分泌され、血液やエネルギーが手足に集中し、素早くその場から逃げることができるようになります。これは実に素晴らしい仕組みで生存にとって重要であることは間違いありません。

大脳皮質や脳の仕組みを詳しく見ると、実は私たちは本来、時間の約90%を「調和のとれた状態」で過ごすように設計されていることがわかります。それは副交感神経が優位な状態であり、古代インドの教えやヨギ(修行者)たちは、それを「God Flow(神の流れ)システム」と呼んでいました。ここでの神とは、すなわち「大いなる秩序ある設計」「神聖な意識」といったものです。

光(エネルギー)は、神経系が「調和のとれた状態」にチューニングされている時にのみ、あなたの中を流れることができます。

ストレスを感じていると、脳の「実行機能をつかさどる領域(前頭前野など)」にアクセスできなくなることはよく知られています。また、ストレス状態にあると、免疫系や生殖系、その他多くの身体機能の働きが抑制されてしまいます。つまり、ストレスや「闘争・逃走反応」に支配された生活、あるいはマンネリ化した状態にとどまることは、健康にとって極めて危険であると、多くの研究で明らかになっています。

次に、ご質問の「呼吸とどう関係するのか」という点についてお話ししましょう。まず多くの人が気づいていないのは、呼吸の仕方が神経系を活性化させ、その状態を調整しているということです。つまり、呼吸をトリガー(きっかけ)にして、状態を切り替えることができるのです。ストレスから「*プレゼンス(今ここにある状態)」へ、あるいは不安、恐れから愛へと切り替える事ができるのです。

*「プレゼンス」---感情の渦に巻き込まれず、自分の内側にある静かで安定した中心軸(本来の自分自身)にとどまっている状態を指します。

状態を切り替える最も簡単な第一歩は、鼻呼吸と口呼吸の違いを意識することです。

口呼吸をしていると、通常は交感神経優位の「闘争・逃走システム」が作動します。(もちろん白か黒か、完全にどちらか一方、という話ではありませんが、説明としてはこれが一番わかりやすいでしょう)
考えてみてください。天敵に追われているとき、素早く逃げるためには大量の酸素を一度に取り込む必要があるので、口で息を吸いますよね。そして走り、危険から脱します。

問題なのは、現代人の多くが胸の上部だけで呼吸し、一日中、口呼吸をしているということです。鼻から吸ってお腹に入れるのではなく、口から吸って胸の上部で呼吸してしまうと、まるで目に見えないスイッチがあって、呼吸をするたびにストレス反応のスイッチを押し続けているようなものです。(自分の呼吸の仕方に無自覚なまま)一日中それを繰り返すことで、無意識のうちにストレス状態を自ら作り出してしまっているのです。

では交感神経優位のシステムをリセットし、副交感神経優位の「休息と回復のシステム」へと切り替える呼吸をやってみましょう。目は閉じなくて構いません。
一呼吸してお腹を緩めて、鼻からお腹に向かって息を吸いましょう。もう吸いきったと思っても、さらに吸い込んで下腹部をいっぱいに膨らませてください。下腹部の奥深くまで空気を送り込みます。いっぱいになったら、鼻から息を吐き出しながら、お腹の力を抜いてだら~とさせ、体の緊張を解いていきます。

もう一度、鼻からお腹に向かって息を吸いましょう。下腹部をいっぱいに膨らませてください。(*お腹が膨らみます。)
肺いっぱいに空気が満ちていくのを感じたら、体の緊張を解き、自然に息を吐き出してリラックスします。

心のストレスに気づいたときにこのリセット呼吸をします。一日のうちに、何回かこの呼吸を行い、少しづつ回数を増やしてください。回数が増えて呼吸に意識を向ける間隔を短くすればするほど、より「今この瞬間」を生きていることになります。これは単に健康や癒やしのためだけではありません。「今」という瞬間にアクセスする、ある種の熟達の境地なのです。

青文字部分はマティアスさんとの対談での以下の内容と同じ事を言っていますね。

私たちにとって呼吸とは、基本的に「生命を動かす究極のエンジン」のようなものです。だからこそ、息を吸うという物理的な行為そのものが、私たちを宇宙の精妙なエネルギーへとダイレクトに繋いでくれるのです。
呼吸によって外にある光を吸い込むことで、私たちの内側にあるすべての光子や粒子(細胞の源)に光を灯しているのです。

 

補 足

ポイントは、吸うときも吐くときも鼻から。
吐く時は吐くことよりも、膨らんだお腹の緊張を緩めることに注目すると自然なリズムが保て、ゆっくり長くなります。

ワタシ的に補足したいことを付け加えます。

動画では触れていませんが、鼻呼吸すると、鼻腔内の湿り気と吸気によって鼻腔上部を冷やします。このすぐ上に脳があり、脳を冷やすラジエータの働きをします。”口呼吸してる子どもはIQが年に5~10低下し、根気がない”というデータを見たことがあります。”口呼吸をしていると脳への酸素供給量が確実に不足するから”と指摘されていましたが、こういう事も関係していると思います。

もう一つ。内臓の働きにも関係があります。
鼻から吸い込むとき、上向きドームのような横隔膜は呼吸筋によって引き下げられて平板のようになります。そこに肺が膨らむ余地が出来て、空気がたっぷり入ってきます。(胸腔内が陰圧になって空気が吸い込まれる)
又、横隔膜が下がると、その下にある内臓が押されて、お腹が膨らみます。お腹に空気が入るわけではないですw お腹周りがゆるんでなかったり、意図して引き締めていると横隔膜が下がりきれず、肺が膨ら無余地が少ないため、肺に入る空気も少ないのです。

横隔膜は上向きドーム状がデフォルト状態なので、呼吸筋によって平坦になっても、吸気が終わると自然と戻ります。ちなみに、この横隔膜の上下の動きで下にある内臓を刺激して、内臓の血行が良くなります。呼吸のメカニズムをよく理解して、身体のダイナミックな動きを意識すれば呼吸の質も高まると思います。

さらにwもう一つ。呼吸と自律神経は「呼気」「吸気」の違いでも関係があります。
呼気は副交感優位になり、吸気は交感神経優位になります。落ち着かせようとする時、ゆっくり息を吐け、というのはこれを踏まえています。興奮して鼻息荒い時は吸気が激しく長いですよね。
呼吸法で「吸うより吐くのが大事、吐き切れば意識しなくても十分吸い込める。」という事を言ってる人がいますが、ちょっと勘違いしてますね。真逆ですね。呼吸筋を動かさないと十分に吸えません。横隔膜の上下で呼吸していると勘違いしています。横隔膜の動きは呼吸筋の動きの反映です。吸う時にしっかり空気が身体の中に沁み込んでいく状態を意識して感じ取る、これが大事だと思います。それはまさしく「God Flow(神の流れ)」だからです♪

「鼻から吸って、口から吐く。」
「4-7-8呼吸」「吐いてから吸う」
こんなこと言ってるのは完全にワヤでっせ。
な~んも実感してない証拠じゃわ(>_<)

 

 

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