先週の「たけしの家庭の医学」では「ケトン体が心臓の老化をとめる」というテーマでしたが、解説した東京都健康長寿医療センターの原田和昌先生は、以前にも同番組で「加齢とともに硬くなる心臓を軟らかく保つ‘心臓やわらか物質’」というテーマで登場しました。‘心臓やわらか物質’のSODもケトン体同様に心臓、寿命に深い関わりがあります。どちらも日常生活で意識すれば増やせることなど、ネットで深掘りしたことも含めてまとめます。
■ 心臓は加齢で硬くなる
心臓は、加齢とともに心臓の筋肉は硬くなり、うまく動けなくなります。心臓も小さくなります。
心臓の筋肉が硬くなったり、心臓が小さくなると、少し階段を登っただけで息切れを起こしたり、妙に疲れやすくなったりします。
原田先生によると、心臓の筋肉は、若いときは軟式テニスボールのようにやわらかいのですが、高齢になると硬式テニスボールのように硬くなるそうです。
こうした状態がさらに悪化すると、重度の心不全を引き起こします。
このような傾向は30代から始まるのだそうです。
心臓が硬くなると・・・
心臓の拍動数は年を取ってもさほど変化はありませんが、心臓の筋肉が硬くなってしまうと、1回の拍動で送り出す血液の量が減って、血液の量が常に不十分な状態になります。
正常な心臓から1日に送り出される血液の総量は約7000リットルですが、心臓が硬くなると3分の1まで減少してしまいます。
身体を巡る血流量が減弱するからなんですね。
つまり、血液が運ぶ栄養が少なくなるからなんですね~。
■ 心臓を若々しく保つ「心臓やわらか物質」を発見
「たけしの家庭の医学」で「心臓やわらか物質」と名付けた物質の正式名称はSOD(スーパーオキシドディスムターゼ)という酵素です。
体内に存在している酵素の一種で、SODをたくさん分泌させることができれば、心臓をやわらかくできる可能性があります。
山形大学が2016年10月に発表した論文によると、60代の男女およそ3000人を、SODがしっかり分泌できているグループとそうでないグループとに分け、10年間に渡って追跡調査したところ、分泌できているグループの心不全での死亡率は、そうでないグループに比べわずか6分の1だった事がわかりました。
fa-arrow-circle-rightSOD(スーパーオキシドディスムターゼ)とは
■ 寿命とSODの関係
心臓をやわらかくするSODは、人間だけでなく地球上の多くの生物に重要な影響を与えます。
アメリカ国立老化研究所の研究では、人間を含む数種類の哺乳類のSODを測定したところ、SODの量が多いほど寿命が長くなることがわかりました。
「犬、猫、猿、馬、ハツカネズミ、人間」の血液1mlあたりに含まれるSOD量を測定した結果、SOD量が最も多かった順番は
人間>猿>馬>猫>犬>ハツカネズミ
でした。
一方、それぞれの動物の平均寿命は
人間80年>猿30年>馬25年>猫15年>犬14年>ハツカネズミ3年
です。SODが最も多い人間が、平均寿命も長いことからSODと寿命の関係が反映されていると考えられます。
人間は、進化の過程で多くのSODを分泌する方法を体得した結果、心臓をやわらかく保ち寿命を大きく延ばしたと考えられています。
■ SODを増やすには
SODを増やすヒントを探るために、SODをしっかり分泌出来ている参考例として取りあげたのが、静岡・熱海市の高齢者の皆さんです。
熱海市は海岸から山までの距離が近く坂が多いのが特徴。
熱海在住の高齢者は毎日坂を歩いているため、筋肉に負荷がかかり、SODを大量に分泌しているのだそうです。
SOD分泌ポイントは、坂道や階段をよく歩くこと。
そしてそのコツは
体重をかけて、ゆっくりやった方が負荷がかかり、効果が高まりまるそうです。
【参考】 SODとは
SODとは、スーパー・オキサイド・ディスムスターゼ(super oxide dismutase)の頭文字を取った名称で、直訳すると「活性酸素を除去する酵素」という意味となります。
酵素とは、消化や代謝、細胞の生まれ変わりなど、あらゆる生命活動に関与しており、人間にとってなくてはならない成分です。
SOD酵素は、数ある酵素の中でも、活性酸素を除去するパワーを持った、特別な酵素なのです。
バクテリアから高等動物、植物に至るまで、幅広い生物が持っている成分です。
人間には3種類のSODがあります。
- SOD1 ・・・細胞質に存在
- SOD2 ・・・ミトコンドリアに存在
- SOD3 ・・・細胞外空間に存在しています。
呼吸で酸素を取り入れて生きている生物は、必然的に酸化(=老化)して寿命が来ます。カラダが大きく、取り入れる酸素が多くなればなるほど寿命が短くなると言われています。
にもかかわらず人間が長寿なのは、SOD酵素の働きが活発で活性酸素を分解する能力が高く、老化をゆるやかなものにしてから、と言われています。