MBS・TBS放送「プレバト!!」の視聴率の要とでもいえる、俳句の夏井いつき先生が「放送文化基金賞・個人部門金賞」を受賞しました。
私はこの番組大好きで、なかでも夏井いつき先生の「俳句」が一番のお気に入りです。
夏井先生のわかりやすく端的な解説を聞いていると、自分もすぐにでも上達しそうに思えます。素晴らしく的確な添削で、駄作が見違えるように名句に変化するのと、あっけにとられます。
なぜそうした方が良いのか、という解説も、おそらく俳句の真髄に触れているのでしょう、「俳句とはここまで深いものなのか!」と魅了されます。
見ていると「いっちょ、やってみようか」という気になりますよね。そこで、やってみると、うんうん唸るばかりで、まったく言葉が出て来ない。そうしてようやく、ゲストの芸人さん、芸能人の才能に驚くんですよねぇ。
のごひいきはFUJIWARA藤本敏史さんですね。素直でけれん味がなくてやわらかいですよね。
印象に残っているのが、これ。
「ぬうぬう」という表現が、観覧車の揺ったりした動き、重量感、空間との関係・・・などをズバリと言い表していますよね。
下にあるのが、夏井先生の添削です。
もぅ、この添削。すごいです。全然違いますよね。たった数文字で。
達者ぶりが素人にもわかる、梅沢富美男さんや東国原英夫さんの俳句、もちろん上手い!と感心しますが、なぜか「自分もやってみようか」とはなりません。
ジャニーズの若いタレントさんも素晴らしい俳句を披露しますよね。多才ですよね。
なんて思っちゃいますが、去年、開成高校の俳句部の高校生とプレバトの俳句特待生の芸人三人、NON STYLE石田明さん、フジモン藤本敏史さん、フルーツポンチ村上健志酸が対決した回がありましたよね。
かなりの視聴率だったようですが。あれ、おもしろかったぁ。俳句だけでなく、互いの俳句をけなし合う、かけ合いがサイコー。完全に開成高校生が芸人を知力と論理性で圧倒してましたがw
で、このバトルの結果、良くわかったことは、俳句にはその人そのものが出るんだな、ということです。これが俳句の魅力なんでしょうね。
頭の良い高校生の俳句は「上手いね、よく知ってるね。」という俳句で、そのままいけば梅沢富美男さんみたいな、玄人受けの達者な俳句になるのだろうな、と。
対して、芸人三人の俳句は、イキイキしてる。
まだ手直ししたい、というとこがあるのだろうけど鮮やかでしたよね。
人生とか世の中が輝いて見える瞬間をつかみとって、それを俳句にしている。
まず目の付け所、その時点で俳句の出来が決まるような、その違いがありました。
バトルの勝敗がプレバト芸人三人の勝利になったのは、夏井先生以外の俳句界の重鎮がこの辺を評価したからでしょう。
他の先生方の評価を聞いている時の夏井先生の「してやったり!」顔がかわいかったなぁ。
そういえば、夏井先生以外の採点は初めてでしたが、夏井先生が番組でいかに厳しく採点して来たのかが良くわかりましたよ。
夏井いつき先生が日刊スポーツのインタビューで、生徒達の上達振りについて話しています。
最初はそれはもうレベルが低くて(笑い)。
今はちゃんと作品と呼べるものが生まれ出した手応えがあります。
藤本さんや石田さんなんか、ほんとカスカスだったんだから。へたくそな上に発想も普通で、よくお笑いできるなと(笑い)。
でも、こつこつと季語や型を覚えてくるし、言われたことを忘れない。努力型でここまで来てくれました。
~中略~
あの人(フジモン)、作風が意外とファンタジーなんだよね(笑い)。
努力型だから能力が後戻りしないし。
カスカスから現状まで伸びてきたのか・・・!
ふ~ん、じゃ、いっちょおば半も頑張ってみるかな・・・。
夏井いつき先生は、「プレバト!!」の前にも「NHK俳句」でも選者をしていたこともありますし、現在、「俳句王国が行く」(NHK)の解説者として出演してます。
しかし、ここまで一般にお名前が知られる様になった、と同時に、俳句の魅力も知られる様になったのは、「プレバト!!」効果ですね。
民間ならではの企画、浜田雅功さんのMCぶり、ゲストの芸能人の人選、などが相まってのこと。
夏井先生御自身も『第44回放送文化基金賞』個人部門の贈呈式での挨拶で、このことに触れてます。
『俳句の種まき』を合い言葉に30年ちかく活動してきました。
百まいて一つ芽が出ればうれしい、その芽が百に一つ育っただけで最高、という根気との闘いを続けてきました」と振り返り、『プレバト!!』俳句コーナがはじまってもうすぐ5年。この番組は、倍速や4倍速の追い風となって『俳句の種まき』を推し進めてくれました」
「プレバト!!」は2017年度平均で、関東地区で12.7%、関西地区で15.2%の高視聴率です。俳句人口もかなり増えてるんじゃないでしょうか。
夏井先生の著書の売れ行き、俳句本としては異例だそうですから。
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